オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
4
翌朝、あたしはナギと会っても目も合わせずにいた。
もっとも、ナギもいつもの毒舌は影を潜めて、何だか覇気がないように見えたけど。
きっとあの美人さんとの逢い引きで疲れたんだわ。
仕事も放ったらかしで、いいご身分ですこと!!
あたしはますます頭にきて、ナギの事は考えないように、と他の作業に集中した。
ナギが他の人と話してても、声を聴くだけで気分が悪くなるから極力避けて通る。
でも、ナギ自身があたしに声を掛ける事もなく、何となく避けてる気もした。
涼花さんとは愉しげに、談笑すらしてるのに。
やっぱり。
ナギは、あたしの事なんて。
にじんできた熱いものを見られたくなくて、あたしは台所の桶を持つと、裏口から出ていった。
昨日散々迷って深く生い茂った草を踏み倒したから、井戸には昨夜より早く着けた。
お米は昨日のうちに研いで、お水に浸けておいた。
そのとぎ汁で食器を洗ったから一石二鳥だったな。
夕べはうどんと煮魚で誤魔化したけど、やっぱり朝はご飯だよね。