オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




翌朝、あたしはナギと会っても目も合わせずにいた。


もっとも、ナギもいつもの毒舌は影を潜めて、何だか覇気がないように見えたけど。


きっとあの美人さんとの逢い引きで疲れたんだわ。


仕事も放ったらかしで、いいご身分ですこと!!


あたしはますます頭にきて、ナギの事は考えないように、と他の作業に集中した。

ナギが他の人と話してても、声を聴くだけで気分が悪くなるから極力避けて通る。


でも、ナギ自身があたしに声を掛ける事もなく、何となく避けてる気もした。


涼花さんとは愉しげに、談笑すらしてるのに。


やっぱり。


ナギは、あたしの事なんて。


にじんできた熱いものを見られたくなくて、あたしは台所の桶を持つと、裏口から出ていった。


昨日散々迷って深く生い茂った草を踏み倒したから、井戸には昨夜より早く着けた。

お米は昨日のうちに研いで、お水に浸けておいた。
そのとぎ汁で食器を洗ったから一石二鳥だったな。

夕べはうどんと煮魚で誤魔化したけど、やっぱり朝はご飯だよね。


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