オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「な……何で判ったのよ!?」
あたしは肩を怒らせてけんか腰に言ったけど、ナギはこっちも見ずにさらりと言ってくれました。
「アホが、おまえからは薔薇の移り香がする。
その特徴からすれば、別荘から一番遠い薔薇を見に行ったろう?
足腰が不自由な絹枝さんをあまりあちこち引っ張り回すんじゃない」
流石に、何もかもお見通しと言うわけですか。
顔がひきつったあたしは、何かひとことでもコイツに言い返したくなってきた。
暗闇に目が慣れると、ナギの足下にあるランタンの仄かな光でも書斎のソファーが見分けられたから、あたしはそこにドッカリと腰を下ろして腕と脚を組んで応戦体制を整える。
「そこにいるのは邪魔で気が散る。帰れ」
いきなり繰り出してくれましたか、このオトコは。
ますますムカついてきたあたしは、自分でもわかる引きつった不自然な笑顔を作って応戦した。
「あら、どこにいようがあたしの勝手じゃない?
だいたいあんたがあたしをこき使うから、何だか疲れすぎて余計に眠れないんだけど」