オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「今にもまぶたがくっつきそうなアホ面晒してよく言うな。
それよりも、朝から出掛ける為の弁当の下拵えでもしとけ」
なんでチラッとも見ないのに、あたしが眠いなんて判るのよ!?
う゛~~!悔しいっ!!
何か言い返そうと焦ったあたしは、弁当という言葉で思い付いた。
「なら、あんたの分だけ特別にまず~くしてあげるから。期待しててよ!!」
見えてないからと思って、あたしは両手の人差し指で口の両端を思いっきり広げて、あかんべ~をしてやった。
すると。
ナギのページを繰る手が止まり、ヤツは何でか下を向いた。
な、何なのよ!
よく見れば肩を揺らしてるのが判ったから、カッと頭に血が上ったあたしは、ナギにずかずかと近づいて怒鳴る。
「ちょっと!なに笑ってんの……!」
あたしのその声は
最後まで出せずに
手首を掴んで引き寄せられた
ヤツの唇で封じ込められた。
「……気付かぬ内に、帰れ」
ヤツはそう耳元で囁くと、あたしを突き離してランタンを消した。