オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「そうなんだ!クロは他の猫とは違うんだよ。
オレの気持ちを誰よりも解ってくれた。
それなのに、ほとんどの大人は『猫なんてみんな同じ』って言うんだ。
でも、杏子姉ちゃんは違う。クロのこと解ってくれた……」


そこまで言うと博君は瞼を閉じかけたから、あたしは博君の分の布団も敷いて、彼をそっとそこに寝かせた。

叔母さん家には、明日連絡しないとね。

博君は嫌がったけど、やっぱりいなくなれば不審に思うはずだし。


それにしても、男性恐怖症のあたしが知らない男の子と一晩中ひとつ屋根の下……なんて。


そうは言っても、あたしよりちっちゃい子どもだもん。
あと何年かすればダメだけど、博君くらいならまだまだ平気だよ。


あたしは博君に気遣って蛍光灯を消し、代わりにテーブルスタンドで学校の課題を解いていく。


カタカタ、と窓ガラスが音を立てた事で、外は北風がひどく吹き荒れだした事を知ったけど。


ふと、ナギの顔が脳裏をよぎる。


だ、大丈夫だよ!


アイツには帰る家があるから、こんな寒空で律儀に待ってるはずない。
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