オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

家に博君を泊めて明けた朝、あたしは彼を預かってる叔母さん宅に連絡をしようとした。


だけど、いくら連絡先を聞き出そうとしても、博君は頑なに口を閉ざしちゃって。


あたしが後で好きなお菓子買ってあげるから、となだめすかしても。
あたしが誘拐犯扱いされちゃうからって泣き落としても。
博君は申し訳なさそうでも、絶対に住所や電話番号を教えてくれなかった。


昨日のひどい格好といい、たぶん何らかの家庭の事情が絡んでいる事はあたしでも容易に推し量れた。

あたしの家庭だってよそ様から見れば、普通じゃない。


片親だって人知れず白い目で見られてるコトは知ってるし、お母さんが心を病んでいるから、って冷たい風に晒された事も数限りなくある。


けど、あたしもお母さんも、人に恥じるようなコトは何ひとつしてないんだから、ってあたしは思う。


だから胸を張って堂々としてればいいって。


けれど、博君はまだ小学校中学年。


それなのに、もう両親がいなくて。


それなのに、博君はいじけたり卑屈な性格になってない。
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