オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
あたしは気を取り直して、砂浜まで歩いてみた。
お母さんと一緒に暮らしてた時、加奈子先生やチカやケンの助けを借りて海に行った経験はある。
その時のお母さんの顔は、何の憂いも無さそうに見えるほどに穏やかだった。
苦しみも、悲しみも、辛さも、痛みも。
すべて大海原に溶け込ませ、白い波頭とともに砕け散るのかもしれない。
ツンと鼻に付く海苔に似た磯の香りと、少し肌に纏わりつく温まった潮風と、リズミカルに押し寄せる波の音。
……海は。
生命の母なる存在、そういう話を聴いた事がある。
だから、血や涙の成分も海水に似てるんだって。
……なら。
この場だけだけど、あたしは心の中で祈った。
どうか、ナギの生命を延ばしてください、と。
あたしの生命をあげてもいいから。
もしも輸血みたいに寿命がやり取り出来るなら、あたしはそうしたいと真剣に思った。
以前ナギにはおまえの命はその程度か、と詰られたけど。
もちろん、こんなあたしだって命は惜しい。