オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
そして、彼女はチラリとあたしに目を向けて小さな声で呟いた。
「……来るわ……
だけど。あなたなら、大丈夫。
きっと受け入れて貰えるわ」
狩野さんの言うことは意味不明過ぎて、あたしには全然理解出来なかった。
「は?何のことですか」
あたしがそう訊こうと口を開くか開かないかの刹那……
後ろから歓声が上がって、博君とミクだけじゃなく、『ありす』とアプレクターじいちゃんと、涼花さんの興奮する声が聴こえた。
「来たわね」
狩野さんはそう言うと、浅瀬から少し深い場所に入って一気に泳ぎだした。
いったい何なの?
あたしが体ごと後ろを向いて目を凝らせば……。
見えてきたものは淡い光に包まれた、イルカの群れだった。
それも、あたし達が水族館でよく見る種類のバンドウイルカ。
クチバシが長くて、体全体が青みがかったネズミ色でスマートな体型。
頭もよくてコミュニケーションが上手い。
そのイルカたちが、10mほどの距離の先で泳いでた。