オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「チカも、行ってきてもいいよ」


 ケンが何言ってるのか、あたしは数秒間理解できなかった。


「なに言ってんの、ケン?チカが行くわけないじゃん!」


 ハッとしたようにチカがケンに言うと、彼は忙しなく言葉を継いだ。


「だからさ、俺はチカを束縛したくねえんだよ。チョッと知らねぇ男と喋っただけでいちいち詮索したりする狭い男になりたくないからな。
ま、俺は世界一いい男だし、チカを信じてるしな」


 大げさなくらいに両手を広げておどけるケンに、チカは「もう、バカ」と小さな声で呟いて広い胸にぶつかっていった。


ケンも片手でチカを抱きしめて……。


「あ〜、暑い!夕方なのに急に温度が上がったよね」


 あたしはあさっての方向を見ながら2人に言ったけだ。


「チカも行くんでしょ?今更断ろうってダメだかんね。カレのお墨付き。大丈夫、羽目外さないって!相手はあのお堅い一高だよ」

ユリの言葉で全て決まったけど。


あたしはまだ知らなかった。


これがきっかけで、何が起きるのかを。
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