オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「ゴメン、やっぱチカはダメだよね。ならキャンは?」
「あたし6時からバイトだから。それに、お母さんも迎えに行かないと」
あたしがそう答えると、ユリはスマホを手にして…
2分後にVサインを出した。
「ウチのツレで同じ店でバイトしてるコいたから、今日代わってくれるって。
加奈子先生ンとこにも事情話したら、今日は遅くまでおばさん預かってくれるってさ」
あまりの素早さに、あたしの目は点になってた。
ユリのそういうとこは、いつもながら感服しちゃうよ。
いつもごり押しはしないけど、やっぱ一高ってのが効いてんだろうなぁ。
「俺も同感だな」
それまでだんまりを決め込んでいたケンが、突然口を開いた。
「キャンもオヤジさんのことがあって苦しいかもしんないけどさ、男はそんなヤツばっかじゃないぜ?
俺もオヤジさんと同じに……だったら心外だし」
「そ、そんなことないよ!ケンは大切な友達だよ!一緒になんてしてないから!」
あたしが身体を乗り出して言うと、ケンの青い目は少し揺れたように見えた。