オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
3
エレベーターが降りていても、あたしは直ぐそばにいるお父さんよりも、さっき見たナギの様子が気になって堪らなかった。
ナギ、なんであんな顔をしたのかな?
どうしてあたしにそんな目を向けるの?
今朝の彼から見れば、そんな表情をする理由が見当たらないのに。
気持ちは確かめられたと思った、それは間違いないけど。
あたしは自分の考えに夢中になっていて、気まずそうなお父さんとの距離も空気も気にならなかった。
エレベーターは順調に降りて、1階ごとに数秒で通過する。
1分も経たずに24階のランプが点灯したとき……
―ドクン―
急に目の奥が熱くなり、全身の細胞が脈打った。
ちりちりと暴れだす、いつまでも慣れないその感覚。
そんな時、あたしは耐えるのではなく、身を委ねる事で一体化する方法を編み出してた。
研ぎ澄まされたあたしの感覚が、エレベーターの周りのアプレクターをハッキリと捉えた。
だけど、意外な光景が視えた。
それは紛れもなく、生命溢れる海底の光景だったから。