オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】








あたしとナギは人事部長のお父さんに案内されながら、各フロアの主要部を見て回った。


各部の部長さんにも挨拶しながら、ナギはざっと見て回っただけでメモすら取らず暗記したみたい。


あたしは、手帳のページを繰りながら、どのフロアにどの部門があるか書き込むだけでいっぱいいっぱいだったのに。


33階から10階下のフロアに移動しようと、専用のエレベーターに乗り込んだ際、ナギが手帳を忘れたとエレベーターから降りた。


「お2人は先に向かっていてください。数分後に追いつきますから」


ナギがそう言ったことで、記憶処理能力が限界を越えてたあたしの頭は、一気に現実に引き戻された。


もしかしなくてもこれは……。


あたしとお父さんが2人きりになるってこと!?


めちゃくちゃ気まずいよ!


あたしはナギと一緒に行こうと、扉が閉まる前にエレベーターから降りようとしたけど。


閉まろうとした扉の隙間から見えたナギの表情に気を取られ、あたしが乗ったエレベーターはそのまんま動き出した。



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