オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
波止場近くの駐車場に車を停めて、コンクリートで防岸されたよくある堤防沿いの道を進み、見えてきたのは海。
強い風に吹かれて波立つ目の前の海は、普段は漁や釣りをする人で賑わうに違いないと思う。
海面には一様に南の海を思わせるエメラルドグリーンに染まっていて、不自然にまで美しかった。
それだけならば、きっと綺麗ねだけで終わる。
けれども、それだけで終われる筈がない。
美しく見える海面に浮かび波に洗われるのは、無数の生物の死骸。
堤防のコンクリート壁を見れば、ヤドカリやカニなんかが我先にと海から上がろうとしてた。
あたしは、背筋が凍りそうに思えた。
美しい外見とは裏腹に、そこは確かに死の海と化していたから。
それに、ひどい臭いがして咳き込んだ。
赤石がハンカチを渡してくれたから、それを借りて鼻と口にあてる。
「ありがとう。でも、これは何なの?」
あたしが訊くと、赤石は無表情なまま感情が籠もらない声で答えた。
「青潮だ」
「あおしお?」