オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
“どうしよう”。
頭に思い浮かんだ最初の言葉が、それ。
「きっとカレシも喜ぶわよ!一緒に着いていかない方がいい?1人で言えそう?」
高瀬さんの明るい声も、あたしには意味ある音として理解出来なくて、その響きに含まれた微かな変化に気づけなかった。
お医者様に見せて頂いたブラウン管に映る画像には、確かに胎嚢っていう赤ちゃんを包む袋が確認出来たから、間違いないんだ。
間違いなく、あの夜の。
ナギとの赤ちゃんが出来たんだ。
あたしは診察室から出た途端に、膝から力が抜けて、体が崩れ落ちる前に高瀬さんが慌てて支えてくれた。
どうしよう……
すごく
すごく嬉しいよ。
あたしの中に、ナギとの生命が宿ったなんて。
信じられないけど、本当なんだ。
ナギとの未来はもう叶わないけど、あたしにはこの子が残されたんだ。
あたしはお腹に触れて、心の中で語りかけた。
初めまして、あたしがお母さんだよ。
あたしをお母さんに選んでくれて、ありがとう。