オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】









あたしは告げるべきか迷ったけど、高瀬さんが開口一番に赤石さんに伝えてしまったから、もうどうしようもなく恥ずかしい。


赤石さんはそれを聴いた途端、笑顔が消えて口を噤み、そのまま窓の外に目を遣った。


……やっぱり。


幾ら好きでも、他人の子どもを身ごもった女なんて見たくないんだ。


だけど、あたしはそれでも彼に償いたいなんて、ただのわがままかな?


「あら、どうしたの?カノジョが妊娠したなんておめでたいのに、なんでそんなに暗いのよ!
ほら、ちゃんと向かい合って話しなさい」


高瀬さんは自分が先走って気まずい雰囲気になった事に責任を感じたのか、赤石さんに明るく声を掛けた。


高瀬さんが赤石さんの頬を指先で軽くつつくと、彼は反射的にあたしの方に顔を向けた。


……あれ?


あたしは、すこし不思議に感じた。


あたしは時間的に割と長めに赤石さんをお世話してるけど、あんなクセがあるなんて知らなかった。


やっぱり高瀬さんも看護士さんだから、そういうのは詳しいのかな?


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