オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
「今まで、ずっと自分を偽っていた。
俺に関われば、おまえを不幸にしてしまうと。
だから、ずっと何も言えなかった。
おまえはこんな俺でも、共に生きたいと言ってくれた」
ナギはそう言うと、ポケットから何かを掴み、あたしの目の前で広げた。
あたしはそれを見た瞬間、心臓が高鳴った。
ナギが手にしてたのは、ダイヤモンドの指輪。
「俺がいなければ、おまえの父親は犯罪者とならずに済んだかもしれない。
おまえは傷つき苦しまずにいたかもしれない。
だが、それでもいいと言うのなら。
俺のそばに居ると言うならば。
これを受け取って欲しい」
ナギの声は――
微かに震えてた。
それは、本当に小さな違いで。
普段から彼に接してない人なら、きっとわからないと思う。
――だけど。
あたしには、判るよ。
冷静に見えながら、臆病で。
冷酷に見えながら、優しいこの人は。
――あたしがいなきゃ、ダメなんだから。