アライブ
『何も返す言葉が見つからないやろ、修二。杏菜だけやなくて、修二かて施設出身できっと辛い世界を体験してきたハズやから…痛いほどわかるやろ?杏菜の気持ちが…』
四季神時也はそう言って、零している杏菜の涙を自らの指で拭った。
『わかるさ…痛いくらいわかるさ。確かに腐れきった世界かも知れないけど…それでもこの世界にはまだ小さな幸せや小さな温もりが落ちてる。辛い世界の中でも俺はたくさんの優しさに触れた。まだまだこの世界は捨てたもんじゃないんだよ』
修二がそう訴えると上山翔は鼻で笑った。
『小さな幸せか…なら今の政府の力で作る世界では所詮、俺らには大きな幸せはないと言うことだよな?』
上山翔の言葉に修二は戸惑った。