アライブ
『おかしくなんてないよ!!』
修二のうわごとに対して、杏菜は声を荒げた。
『杏…菜?』
修二は声を荒げた杏菜に驚いた。
『この世界は腐ってるよ。両親を幼きころに失って、お兄ちゃんと施設で育ったけど…両親がいないだけでイジメられ、施設出身だからと軽蔑されて…あたしはこの世界で辛いことしかなかった』
そう告げる杏菜の目からは涙がこぼれ落ちた。
『杏菜…』
そんな杏菜の姿に、修二はやり切れない思いが溢れ出した。
『イジメに差別…平等なんて言葉でしかなくて…しがらみだらけ…不透明過ぎる社会に弱者は強者にすがるしかなくて…白を黒だと言わされてしまう。底辺の人間にとって生きることでさえままならないこんな世界…無くなった方が良いんだよ…』
杏菜の訴えに修二は返す言葉が無かった。