アライブ


『おかしくなんてないよ!!』


修二のうわごとに対して、杏菜は声を荒げた。


『杏…菜?』


修二は声を荒げた杏菜に驚いた。


『この世界は腐ってるよ。両親を幼きころに失って、お兄ちゃんと施設で育ったけど…両親がいないだけでイジメられ、施設出身だからと軽蔑されて…あたしはこの世界で辛いことしかなかった』


そう告げる杏菜の目からは涙がこぼれ落ちた。


『杏菜…』


そんな杏菜の姿に、修二はやり切れない思いが溢れ出した。


『イジメに差別…平等なんて言葉でしかなくて…しがらみだらけ…不透明過ぎる社会に弱者は強者にすがるしかなくて…白を黒だと言わされてしまう。底辺の人間にとって生きることでさえままならないこんな世界…無くなった方が良いんだよ…』


杏菜の訴えに修二は返す言葉が無かった。



< 238 / 470 >

この作品をシェア

pagetop