KISS OF LIFE
「森藤、さん…?」

森藤さんはニヤッと笑った。

また、背中に冷たいものが走った。

な…何、一体?

「名前、何て言うんだっけ?」

「堺彩花、です…」

「彩花ちゃんか」

森藤さんはあたしの前に歩み寄った。

突然近づいてきた彼に、あたしは逃げることができない。

躰が石になってしまったみたいだ。

彼の手があたしに向かって伸びてきた。

「――ッ…!」

伸びてきたその手は、あたしのあごをつかんだ。

「ねえ」

首を傾げると、彼はこう聞いた。

「俺と、つきあって見る?」

――えっ…?

「堺、何をサボっている?」

聞き覚えのある声に、あたしは慌てて身を離した。
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