KISS OF LIFE
「堺」

南野課長が急に立ち止まり、あたしの名前を呼んで振り返ってきた。

「わわっ…はいっ!」

いきなり振り返られたあたしはパニックである。

いきなり振り返らないでよ!

ビックリして心臓が口から出てきちゃったらどうしてくれるのよ!

「おもしろいな」

クスクスと笑いながら、南野課長が言った。

あー、笑われたー…。

穴があったら入りたい…。

「何、ですか?」

あたしは聞いた。

「医務室のことは、ごめん」

南野課長が言った。

やっぱり、からかってたんだ。

「けど、堺を好きなことはウソじゃない」

「…えっ?」

いつか見た真っ赤な顔の南野課長が、あたしを見ていた。

「また、ジョーダンじゃないんですか?」
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