KISS OF LIFE
君博さんみたいな素敵な彼氏がいたら、幸せだなって思う。

男前で、一途な人――あたしにもそんな人がいたらいいのに。

携帯電話をスクロールさせながら、会社を出た。

あたしの前に君博さんが現れたらいいのにな。

「彩花」

聞き覚えのある声があたしを呼んだ。

振り返ると、
「課長…」

息を切らした南野課長が立っていた。

「話したいことがあるんだ」

「あたしは、ありません」

そう言って背中を見せた時、腕をつかまれた。

「何するんですか!?」

「彩花、お前が見たって言うのはいつなんだ?」

「何がですか?」

「俺が女と一緒にいたところを見たのは」

あたしは南野課長の手を振り払うと、
「休日前の夜です。

課長、会社の前で誰かと一緒にいたでしょ!」

南野課長はピクリと眉を動かすと、
「ああ、それか」
と、呟いた。

ああ、それか?

何がそれかよ。

その時だった。
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