桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜


校門を出ると、静寂に包まれた夜の街が私を迎えてくれた。


まだ8時前なのに人は誰も通っておらず、街灯だけが私の頼りだった。



冬の夜風が私の頬をかすめ、ポニーテールの髪をなびかせる。


「今日はいつも以上に冷えるな………」


それもそうか、冬にはなくてはならないダッフルコートを教室に置いてきてしまったからな。


私は学生カバンをもう一度肩にかけ直し、両腕で肩を抱くようにさすると、また一歩歩き出した。


さすってもさすっても温かくなるどころか、冷めきった私の体に突風が追い打ちをかけてくる。



まるで今の私の心のようだ。



ふと、閉店した店のショーウィンドウを見た。



そこに映る自分は、髪が大いに乱れ、大分やつれてるように見える。



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