桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜



「ここの国は桜が多いな。」


それはここに来てから最初に思ったことの一つ



私自身"桜"という名だけあって、桜は好きだからいいのだが。





ヒラヒラと舞い落ちてきた一片の桜の花びらを私は手のひらに乗せる。


そして空を仰いだ。


そこにはやはり黄色い月はなく、代わりに蒼い月が私を照らしていた。



だが、すぐ蒼い月は流れる雲に隠れてしまい、辺りは闇に包まれた。



そういえばここに来る前、こんな夢を見たな・・・


今思えば、あの夢はここに来ることを予知していたのかもしれない


その時、あの夢に出てきた男のことを思い出した。



なぜか懐かしく、愛しい気持ちにさせるあの男。

あれは一体誰なんだろう?






────ガサ…




後ろから草がすれる音がした。



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