それでも、すき。


「―――委員長!」


音楽室に響く、あたしを呼び止める声。

残酷な程、優しくて
狂おしい程、愛しいその声。



…バカだ、あたしは。

本当に、どうしようもないくらい。



「…ごめん。俺、何か気に障るような事言った?」


何で立ち止まったりしたのよ。

そのまま振り返らずに行っちゃえばよかったじゃん。


そうしたら、こんな事にはならなかったのに。




香椎くんは突っ立ったままのあたしの前に来て、顔を覗き込むように少しだけ腰を折る。

あたしは真っ赤な絨毯に視線を落とし、香椎くんの瞳から逃げた。


でも、もう制御不能だ。

溢れ出る感情は、止まらない。



「……じゃない。」

「え?」

「…あたしは……っ、」


止められない―――。





「あたしは、委員長なんかじゃないっ!」



カラダじゃなくて、“あたし”を見てよ。






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