私は大事なそっくりさん
早くもなく遅くもない足取りで柊さんは自分の席へ向かっていた。
偶然にも、私の横を通った。
近くで見たら余計かわいい。
女の私から見ても可愛いんだから、男子目線だとどう見えるんだろう。
一度も染めたことのないだろう腰まである漆黒の髪。
歩いただけでなびくさらさらストレート。
マスカラをしてるかのような、長いまつ毛にくりんとした目。
神様はなんて不公平なんだろう。
美貌というか、可愛らしさを全てこの子に授けるなんて。
今猛烈に神様を睨みたい気分。
でも、通りがかりに彼女はにこっと笑ってくれた。
何となく私は彼女と仲良くできそうな気がした。