私は大事なそっくりさん
「決まってるだろ? 由姫ちゃんが好きなんだよ」
「はぁ、そうですか」
もうなんなのこの人?絶対私の事バカにしてる。
「連れないなぁー。ねぇ由姫ちゃんー」
「どっか行ってください。私は……」
「もしかして、好きな人いるの? 」
好きな人……
私の頭にある人の顔が浮かび上がる。
涼にー………。
「私は……お兄ちゃんが好きなんです。お兄ちゃんしか…」
私の口から出た言葉は、どこからが嘘でどこからが本当か分からなかった。
「由姫ちゃんって、ブラコンだったんだ…なんかイメージと違うな」
圭司君は、奇妙なものでも見るような目で私を見た。
「……はい。だから、彼氏なんて作らないんです」