上弦の月と下弦の月



父親の苦に歪んだ顔がだんだんと滲んで行く。


座り込んでも尚、伸ばす手は空を掴むだけだった。


「目覚めたら地下の階段を使ってミフィールの所に行きなさい。

絶対に、絶対に生きて────」


2人は両親の“ごめんね”と言う言葉を最後に重たくなる目蓋を閉じた。


父親の眠りの魔法により眠った2人を見て扉を出ると、リフィーユによって扉は施錠魔法がかけられた。


魔法陣が光ると扉は壁に溶けるようになくなった。

壁と同じようになり見えなくなった扉は、もう開かれることはなかった。



───その後の両親2人の運命は誰も知る由なかった。





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