屋根ウラの天使



私は眠れるはずもなかった。

あかり。さやか。

転校した日に話しかけてくれたこと、

3人で遊んだことを思い出して

悲しい気分になった。


しかも、

約束を破った私に、何かしてくるんじゃないか…

あの、2人の冷たい目。

怖くなった。



考えごとをしてて、

だいぶ長い間、布団で寝返りを打っていた。

でも気付いたら寝ていたみたいで、

同室の子たちが起き出した音で目が覚めた。


朝ごはんのあと、

荷物をまとめて、バスに乗り込む。

昨日の晩に寝不足だったから、

バスが走り出すと

あっという間に眠りに落ちていた。



「ただいまー」

「お帰り、かおる。旅行楽しかった?」

ママが玄関で迎えてくれた。


「うん!」

作り笑顔で

不自然なほど元気に返事した。

でも、ママは気づくことなく

「そう、良かったわねえ」と

満足してリビングに戻っていった。



私は急いで屋根ウラにかけ上がった。

天使が先に窓から帰って

私のベッドでぐっすり寝ていた。


バスの天井に張り付いていて、疲れたんだろう。



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