【完】先生と恋をしましょう!
優しさと苦しさの狭間


赤い車は、8階建てのマンションの駐車場に入った。
高級って感じではなく、質素な感じ。
薄暗い駐車場でさえ、赤い車は目に止まる。




「さあ、降りて」



「はい。赤い車って目立ちますね?」


気軽な感じで、声を掛けてみれば、先生は面白そうに笑った。



「車は赤以外興味ない。キミは嫌いか?」


先生が嫌いか、と聞かれているようで無駄にドキドキした。


「どちらでもないです。ただ、男の人が赤い車って、意外だなーと」



「よく言われる。あ、高い所は大丈夫か?」


エレベーターに乗ってから、聞かれた。
私は、大丈夫だから頷いた。
チンと、エレベーターが止まって見えるのは、夜の都会。
ガラス張りの一面に広がる、ネオン。
ようやく、さっきの質問の意味が理解出来た。






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