嘘。『彼』
「ひどいでひょ〜あんなにりおだけだとか言いながらぁぁ〜元カノがやっぱりぃぃなんてぇぇ〜ぐすっ…」


酔っぱらったりおちゃんは泣き出してしまった。




どうやら彼氏は、元カノとヨリを戻してしまったらしい。




りおちゃんは泣いたと思ったらすぐに笑いだし、飲むペースを緩める気配がない。




「りおちゃん大丈夫?」



「余裕ですよぉ〜にゃはははは!」




完璧酔っ払ってる…




でもなんか可愛いなぁ…



りおちゃんは、指名したホストと楽しそうだ。




「飲んでる〜??」




私の隣に座ってるホストが私の顔を覗きこんできた。



私は指名が居ないから、次からつぎに、人が変わって名刺を渡され、誰が誰かわからない。




「沙良さん綺麗だよね〜っても言われ慣れてるよね。」



私の目を真っ直ぐに見て、ホストが微笑んだ。




「有難う。言われるのは下心のある親父だけだょ。若い子に言われ慣れてないから嬉しい。」




私も微笑み返す。






私は今沙良だ。




何も感じない。
< 7 / 85 >

この作品をシェア

pagetop