My Sweet Sweet home
ふと視線を感じた。拓兄があたしを見てた。
「なに?」
「いや。お前なんだかんだ言っても唯が大事なんだなぁって思って。」
予想外の言葉にびっくりした。
「冗談。ちょっと癖のある変なペットを飼ってしまった気分。唯を大事にしてるのは拓兄でしょ。」
唯は拓兄の回りには絶対いないタイプの女の子だったし、男なら少々唯の事をめんどくさい奴と思う人がいるのも、理解出来る。
それでも拓兄は唯にとても優しかった。はじめて家に連れて行った時から優しくしてくれた。
あたしはそれがとても嬉しかった事を思い出した。
「お前が大事な人は俺の大事な人なんだよ。」
ちょっとフリーズしてしまった。食べかけのおそばが口からでてきた。
「お前、バカ、なにやってんの。」
拓兄は笑いながら自分のかつ丼をほおばってた。
こんな嬉しいこと言ってもらえるとは思ってなかった。こういう言葉には、ベースはゆか、1番大事なのはゆか、っていうニュアンスがあるように思う。