鳥籠
如月 龍華(きさらぎ るか)20歳。
今年から、看護師として仕事をする為 隣り町に引っ越す準備中。

家は… 今時流行らない。むしろ 存在してたのかと思う、かなりの旧家。


女の子は 絶対に父親の言う事をきくこと。『清楚で上品。無口で よく言う事を聴き、愛想はなくとも挨拶 微笑う程度の器量があれば良し。』という古すぎる考え方の父親。

いつも 何かに怯えて おどおど人の顔色を伺う母親。


天真爛漫 社交的 好奇心旺盛 誰からも好かれ尊敬される兄。
の 4人暮らしだ。


言うまでもなく、家庭内は殺伐として父親と兄だけが楽しそう。
人前では仲良さげに振る舞う 仮面家族。


龍華は、父の許しなく自由に出掛けるなど以ての外。そんな檻のような家で育った為、外への憧れが強く。様々な人と関わるこの仕事を龍華は選んだ。


明日は 勤務先の病院の寮に引っ越す日。
荷造りを終え、唯一の友達と遊んでいた。


綺麗な綺麗な声で鳴く、小さく 狭い 鳥籠でしか生きていけない。広い広い 空に憧れる大事な友人… カナリアのスゥだ。


そっと 籠の戸を開け、手にのせ 窓際で一緒に歌う。


これからを夢見て…。
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