蒼翼記
城の不審な動きをこのままにしておいたとして、異人類種に悪影響が及ぼされる可能性は高い。

それがこの異人類種の収容される塔の地下で行われているならば、なおのこと。




僕はチェオと別れた後、廊下を注意深く歩いて行く。


すると、ほんの微かに足音の響きが違う箇所を見つけた。








なるほど、チェオが『お前の耳なら』と言った意味が理解出来た。

聞こえた違いはほんの微かなものだったのだ。



その付近の壁を睨むと、一つだけやたらと手垢のついた石を見つけた。

その石を軽く押すと、石は少しくぼみ、足元で小さく鍵の外れるような音。



「!」



足元の床が横にゆっくりとスライドする。

そこにはぽっかりと開いた地下への階段が続く闇が口を開けていた。
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