†シークレット・ラブ†

あたしは戸惑い

「いえ、大丈夫です。すみません、すぐに帰りますんで」


そう早口で告げると、この場を一刻も早く立ち去りたい衝動に襲われて



あたしは、お礼も言わずに、また雨の中を駆け出した──…



とにかく、すぐに立ち去りたかったし


彼に、こんな恥ずかしい姿を見られたくなかったから──…


あんなに──…
素敵な笑顔で
優しい言葉をかけてくれる彼に


こんな──…
雨で化粧が落ちてしまった酷い顔を


見られたくなかったんだ──…







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