虹のかけら
私は教室に入って、席に着いた。
まわりから、笑い声が聞こえる。
私の耳に入った言葉。
『杏菜ってウザイよね。』
え?耳を疑いたくなる言葉。
私、今いじめられてるんだ。
『おはよ〜』
先生が教室に入ってきた。
くだらない話を始めた先生。
そんな話より、まわりの言葉が痛い。
苦しい。悲しい。
いつまで続くかわからないいじめ。
そりゃ、私だっていじめた事はあった。
いじめる方は楽しかった。
自分にはいじめられる気持ちが分からなかった。
だけど、
今、分かったよ。
今までは毎日が楽しくて仕方なかった。
もう嫌だ。学校なんてなくていい。
死にたい。
今始まったばかりのいじめ。
何分しかたってない。
なのに、私には何時間たったように感じた

授業が始まっても、私は上の空だった。
『……菜!杏菜!』
先生が私を呼んでいた。
『ぅわっ!は、はいっ』
私は思わず大声を出した。
『教科書78ページ読んで。』
パラパラと教科書をめくった私は言葉を失った。
[死ね][ウザイ][ブス]
などいろんな言葉が書かれていた。
『おいッ!河口?どうした。』
私は教科書を隠して、
『忘れました。』
と言った。
『おいおい、何だぁ?いじめかぁ?』
先生は冗談っぽく言った。

どうしよ。何て言おう。

少し考えて私は口を開いた。
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