少女のヴァンパイア
「…バーナードを除いてはみんな仲良くなって楽しく暮らしていたわ。
リベルも幸せそうだった。」
グレンはキルギスの表情を見て、緊張が少し和らいだ。
「しばらくふたりは隠れて暮らしていたわ。
いくらバンパイア元帥といっても、人間と結ばれるなんて禁忌…決してあってはいけない。
それでも幸せそうなふたりをみていると、なにもいえなくてね。」
キルギスは困ったように笑った。
だが、その優しい表情は消えた。
「リベルはバーナードを心配してひとりでバーナードに会いにいったの。
バーナードはいつもみんなのいる屋敷ではなくて、近くの森に住んでいたの。
まぁ、その森もヴァンパイア元帥たちだけが使える特別な森でバーナードはそこを修行所としていたの。」
どんどんキルギスの周りの空気が重くなっていくのをグレンはかすかに感じとっていた。
まるでどこかの昔話を読んでいるみたいに話すキルギスからは表情が読み取れない。
表情をだすと話すのがつらくなってしまうのだろう。
ただただ無表情に等しいキルギスに目を向け、グレンは聞いていた。
「リベルはイオラを連れてくる前、よくバーナードと一緒に修行したりして、口には出さなかったけど、ふたりは仲がよかった。
だからバーナードがいつもどこにいるのかもわかってたみたい。
それからふたりは話し合ったの。
話の内容は良く知らないけど、リベルが帰ってきたとき嬉しそうに笑ってたから、きっといい話ができたと思うわ。」
その時のリベルを思い出だしてか、キルギスの表情がほんの少し揺らいだ。
「それからわね…」
キルギスの表情がまたどんどん曇っていき、キルギスの気持ちを表すように城の外が曇っていき、やがて雨が降り出した。
城がキルギスの気持ちを表しているのだ。
「みんな平和にくらしていたわ。
相変わらずバーナードはイオラとは話さなかったけど、リベルとはよく修行してたわ。
……でもね、ある日事件が起きたの。」
外はついに雷がなっていた。
ここからが、重要なことだと、伝わってくる。