粉雪２－sleeping beauty－
「…昨日、眠れたか？」


少しだけ笑い、煙草を咥えた。



『…うん、まぁね。』


「…そっか。」


その言葉で安心した俺は、火をつけると煙を深く吸い込んだ。



いつの間にか俺の車の助手席は、千里の指定席みたいになっていた。


横目にはいつも千里が映っていて、結構悪くないと思う。


すっかり俺は安全運転なんかしちゃってるし、やっぱ千里の影響はデカい。




『…あたし、マツのこと好きだよ？』


「―――ッ！」



突然、何言い出してんだ？！


目を見開いて、千里に向き直った。



『…マツは変わったよね…。
前から優しかったけど、今の方がもっと良いよ。
ツンケンしたとこも、大分なくなったし。』


煙草を咥えた千里は、優しい顔をして笑っていた。



『…ごめんね…？』


「―――ッ！」


悲しそうに言う千里から、堪らなくなり目を逸らした。


“ごめんね”の理由なんて、聞くことが出来なかった。


きっと、聞いたら後悔するんだと思うから…。



「…気にすんなよ…。」



多分俺は、完璧に振られたのだと思う。


てゆーか、そう思うことにしといた。


期待なんて、最初からしてなかったけど、やっぱりちょっとだけ切なくなった。


< 24 / 372 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop