開かない扉
オミは困った顔をしながらも、話を続けた。

「じつは、信じてもらえないかもしれないけど、今朝・・・いや、夜中なのかな。
夢の中でこの世界の神様から救世主を守れって言われたんです。」

「えっ!!!」


オミはまだ集中治療の後で、誰とも接触がない。

ということは・・・ナオが以前話していたマリアという神からの命令なのかもしれない。

千代はオミに詳細をきいてみた。


オミが言うには時間と空間のバランスをゆがめてしまう力のせいで、この世界にいるわけのない化け物がどんどん増加している。それを救世主と仲間たち、そしてこの世界に住む人たちの願いを1つにすることによってこの世界が救われるだろうと聞かされたらしい。


ただ、ルイゼが調べた時間と空間のバランスをゆがめるそのものの存在は神様は明かさなかったようなのだが。

千代はルイゼを通じて悪いものの存在には神そのものがかかわっていることをきいていたので、オミにはどう説明していいものか考えた。

そして、しばらくして、千代はオミに剣をもって病院裏の空き地までついてきてほしいと頼んだ。


オミは不思議そうな顔をしながらも、命の恩人の千代の頼みに逆らうこともなく、素直に千代の後をついてきた。


「ここならいいかしら。オミさん、私に斬りかかってきてください!」

千代はオミにそう声をかけると、オミの方が、目をぱちくりしながら、かたまっていた。

「オミさん、遠慮なく斬りかかって・・・」


そう言いかけるのを制するようにオミは首を横に振っている。

千代はあまりに唐突すぎたと反省すると、今度はオミに剣だけ構えるように頼み、オミの横からオミが剣をにぎっている手を包むように手に触れた。


「あっ・・・」


オミはいきなり女性から手を触れられたことに、緊張と驚きを感じたのだが、その次の瞬間もっと驚くことになってしまった。


ボォォォォォォーーーーーーーー!


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