乱樹(らんじゅ)の香り
兵庫の、いつも優しい目に、深さがこもる。

実はためらいがなくもなかった麗から、それが消える。

「こっち、来て?」

兵庫に、いざなわれる。

心もとなく感じていた照明は、兵庫の姿を見るには充分で。

「麗って、やっぱ、綺麗だな。

そばで見ても」

兵庫に言われると、嬉しい。

麗は、微笑んだ。

「オレ、何人、敵に回すかな」








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