電界妖怪 〜マカフシギ〜 ①
「もしかして、指名手配の…。」
「あら、智美ならとっくに気付いていたのかと。」
市役所の係員が言った。
「え、智美?」
私は言った。
「ちょっと、お互い様でしょう。」
「ごめんなさい。私、智美の姉の増田咲恵子(マスダサエコ)。いつも妹が迷惑をかけてごめんね。」
「あ…いえいえ。逆に迷惑をかけているのは私ですから。」
私は戸惑いながら言った。智美ちゃんの姉。咲恵子さんは智美ちゃんと違って、大人っぽい感じがする。私も就職するためにもクールにならなくちゃいけないのかも。と、先を見て思った。
「それじゃあ、またね。」
そう言って手を振りながら、廃校した中学校を後にする。なんかシーンとした時間に変わった気がする。私、見てはいけないものを、見てしまったのかもしれない。そう思った。妖怪を金に変える。おじいちゃんはそんなために妖怪を作り出したとは思いたくない。
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