電界妖怪 〜マカフシギ〜 ①
「500円。」
「なら十分に足りる。」
「どうするの?」
「バーチャルフォンだよ。買うの。」
智美ちゃんは平気に答える。だって本当の携帯電話は月額がかかる。私は親には携帯電話は反対されている。小学生にはまだ早いって。普通の親は買わないのが当たり前だと威張(いば)るけれど、威張(いば)っていいものだろうか。それとは違い子供の携帯バーチャルフォンなら買ってもいい。本当に矛盾している。
「もしかして月額?」
智美ちゃんが言った。
「鋭い。」
と、心の中に呟いた。
「これはお金はいらないの。通話も料金もいわゆるタダみたいなものだから。」
「通話がタダなんて聞いたことないよ。」
私は智美ちゃんに言った。
「まあ、今日はもう遅いから詳しくは明日。」
「‥‥うん。」


私は複雑な気持ちだった。携帯電話の通話も料金も無料なんて、いい作り話みたい。そう私は思った。
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