駆け抜けた少女【完】
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あれから数日、浪士組は多忙な日々を過ごしていた。
八月十八日の政変により、長州の者は京を追われ、逃げ切れずに未だ京に潜伏している倒幕派を捕らえるために、日夜見回りをしているのだ。
矢央の身に起こった不可解な出来事は、山崎により帰隊した局長副長に伝えられた。
「ご苦労だったな。山崎君」
「いえ。 局長達が留守の間、俺が間島の警護をと命じられていたのに…負傷させてしまい申し訳ありません」
山崎は、頭を下げる。
それを近藤は上げさせ、渋い表情をして見せた。
「しかし、俄かに信じがたいものだな」
山崎の報告は、全て嘘偽りなく見たものを告げられている。
お華のこと、矢央との間に起きた出来事も。
「歳よ、どう思う?」
「……妖か、か? んな非現実的なもん信じられるか」
「ですが、副長。 あのような事が成せる人間などおりません」
土方に、突っ込む山崎。
一瞬顔を濁した土方は、庭に視線を向け、庭掃きをしながらボーっとする矢央を捉えた。
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