だから、君に
門にたどり着く。

目前にするとかなり威圧感がある。
掛けられた表札には、漆で『根岸』とあった。

「今日は……ご迷惑をおかけしました」

背筋を伸ばし、丁寧にお辞儀をされた。

「いや、そんな」

「でも、意外でした」

「意外?」

顔をあげた根岸が、少年らしくいたずらっぽく笑う。

「芹澤先生ってもっとダメな先生だと思ってたから」

「失礼な」

「あんな場面に出くわしてもスルーしそうだし、もしくは根掘り葉掘り聞こうとするとか」

「……」

返す言葉が見つからず黙っていると、背を向けた根岸は門に手をかけ、もう一度くるりとこちらを見た。


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