だから、君に

「別に構わないけど、荒川はもう進路決めたのか?」

僕の言葉に、荒川は顎を少し引いた。どうやら頷いたようだ。

「俺、明青大学にスポーツ推薦もらう予定なんで」

荒川は野球部のキャプテンとして、かなり実績を残している。
大学に進学しても野球を続けるのなら、より良い環境に身を置いたほうがいいのだろう。

「そうか……、荒川はそれでいいのか?」

僕が尋ねると、荒川は眉をひそめ、目線を下げた。

「ま、今は集中したい時期だよな。面談は明後日の昼休みでいいか?」

「はい」

「ゆっくり考えろ。お前の将来なんだから」

最後の言葉に力を込めたが、伝わったかはわからない。荒川はぺこりと頭を下げ、足早に練習に向かった。



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