妖魔03(R)〜星霜〜
俺達は村へ戻ると、チェリーが家から出てくる。

「お母さん、お兄ちゃん!」

そう言いながら、チェリーはカメリアに抱きついた。

「モンドは?」

「そこにいるよ」

チェリーが指差した家の影から、モンドは俯きながら出てくる。

「とりあえずは、無事に降りられたんだな」

俺は、それだけ知る事が出来れば十分だった。

「あんた、何で俺に知恵を与えて助けた?」

「何でって、お前、女のために動いたじゃねえか。助ける理由はそれで十分だろう」

「言いたい事、あるんじゃないのか?」

「俺の言いたい事は村人から嫌って程、聞いただろ?二度も三度も言って何になる」

モンドの顔の暗みは消えない。

よく見れば、殴られた後もある。

相当なじゃじゃ馬でない限りは、二度としようとは思わないだろう。

モンドはそういうタイプではなさそうに見えるしな。

「で、綺麗な実ってのは、取れたのか?」

「うん!物凄い綺麗なんだよ!」

チェリーが懐から出したのは、丸い形をした七色を放つ実だった。

モンドの奴、ちゃっかり渡してるじゃないか。

「綺麗だが、食べたいとは思わないな」

さすがに、腹を壊してしまいそうだ。

「私もこんな物があるなんて知らなかったわ」

少しだけ気になった事がある。

「モンド、それは一つしかなってなかったのか?」

「なかった」

一つしかないって事は、意味があるんじゃないのだろうか。

火野長老に話を聞いてみるのもいいだろう。

「ま、今日のところは休むか」

「おや、お兄さんは、家でご飯を食べるんじゃないのかい?」

「そういやそうだったな」
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