妖魔03(R)〜星霜〜
「ティアもご馳走になるですう」

「お、おわ!気配を消して近寄るなよ」

何度も体験しているのだが、部屋の隅の日陰に生えたキノコのように、いつの間にいたのかわからない登場の仕方をしやがる。

「丞さんばかり優遇されるのはおかしいですよう。だって、ズボラで短足で年がら年中ハードボイルド気取りな方なんですからあ」

「サスペンス風に崖から落ちろ!」

「ホギ!」

三〇のエルボーと同等のエルボーを回転しながら胸元に3度ぶつける。

ティアはコマのような回転を見せながら地面へと倒れた。

「ティアお姉ちゃんって、倒れ方が面白いよね」

「丞さんに嫌というほど変態チックな事されてますからあ、受身も上手くなりますよう」

俺にとっては倒れ方よりも、無駄なしつこさの方が恐ろしく感じる。

「カメリアー、ティアもお呼ばれしたいですよう」

カメリアだって生き物であるからして、好き嫌いはある。

ティアの事はあまり好いていないようにも思える。

「はあ、しょうがないねえ。今日だけだよ」

誰が見ても渋々と解る言い方であった。

「やった!カメリアの喉に絡みつくような料理が食べられるですう!」

「それ、褒めてるのか?」

「何言ってるんですかあ?丞さんのへな猪口で褒めるような場所のない料理なんかよりも、いいに決まってるじゃないですかあ」

「メ〇ンテ!」

「アベシ!」

ア〇ン先生の最終奥義であるメガ〇テの爆発しないバージョンを行う。

詳しく言うなら、コメカミに4本の指を突き刺すという物だ。

全然、刺さらなかったんだけどな。

「良かったね!ティア姉ちゃん!」

「嬉しいですう!」

二人はとても嬉しそうだが、残りの三人は陰鬱な空気が流れていた。

「俺、帰る」

「あ、おい」

引き止めようにも、すばしっこいモンドは自分の家へと消えていった。
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