妖魔03(R)〜星霜〜
ここ数年、街中の物資は少量になっている。

敵にバレないように身を隠し、人間が住んでいた日本家屋の一軒家に忍び込む。

大体の家は調べつくされているので、意味がないかもしれない。

しかし、何かあるという一縷の望みは捨てきれない。

まだ午前、簡単に諦めるのは早計だ。

事実、別の人間が廃墟で物を見つけている場面を私は見た。

廃墟の物資が残っているか、廃墟の管理者が物資を増やしている事になる。

多分、輪になっているはずだ。

散策して見つけた物資の売却金を受け取る。

管理者によって売却された物資は廃墟に戻される。

その繰り返しだろう。

食料は無くなるので、管理者が増やしているはずだ。

管理者側にすれば、人の苦しむ姿は娯楽だと思っているのだろう。

私は奴隷にされるわけでもなく、臓器を売られるわけでもなく、廃墟に入れられたのは物好きな誰かが裏から操っているとしか思えない。

廃墟から出た人間の情報は聞かない。

設定金額が莫大なのか、何者かに仕組まれて事故を起こしたか。

私達は管理者という釈迦の掌で踊らされているだけなのかもしれない。

だからといって、管理者は憎んでいない。

過酷であっても、金を出せば廃墟から出所が出来るので、問題はない。

途中で死ぬのは、運がないだけ。

何も生まない感傷に浸るのを止めて、探索を開始する。

冷蔵庫に消費期限の切れていないヨーグルトや他の物があるのは、管理側から継ぎ足されたと思ってもいいだろう。

今日は当たりクジを引いたみたいだ。

重要な食料を動ける程度に袋に入れ、他の物を入手するために冷蔵庫を閉めて家の中を探る。

動こうとした瞬間、屋外から男の声が聞こえる。

街を平気で歩いているのは、どこかの派閥に入っているだからだろう。

何か情報を得られるのではないかと思い、男達の会話に耳を傾ける。
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