妖魔03(R)〜星霜〜
床に扉があり、開ければ収納ボックスが存在する。

そこにはガス缶や、漬物が潜んでいた。

一本だけあるガス缶を盗み取り、袋に入れる。

他にも入れたいのだが、重すぎると身動きが取れなくなるので切り上げるしかない。

日は暮れていないのが惜しいところだ。

欲を出せば、全てが台無しになるのは学んできた。

見つかれば、嫌がらせで潰されるかもしれない。

隠れ家に帰還の準備をしているところで、誰かが家に侵入してくる。

隠れる場所は押入れしかなかった。

床下収納ボックスは荷物を入れることが出来ないからだ。

発見されれば滑稽でしかないが、私には闘う力がない。

だから、隠れてやり過ごすしか、方法がなかった。

早急に押入れの中に隠れて待っていると、眠そうな白衣の女が入ってくる。

「アチシも親に隠れて、一人慰めてた日を思い出すアル」

女はワケの解らない事を言い始めた。

今の私には理解の範疇を越えた事だ。

「ちびっ子の気配がするアル。ショタに走る気はないから出てくるアルよ」

女の言う事を信じるほど愚かではない。

異様な雰囲気を出している女は辺りを見回す。

「無理に出なくてもいいアルが、おちびちゃんのゾッコンラブなお嬢ちゃんが想像を越えるような目にあうアル」

マヤの事を知っているのか?

カマをかけているだけかもしれないが、本気だとすればマヤが危険な目にあう。

マヤの情報を持っているところ、女は只者ではない。

現状維持で隠れ続けるのは間抜けだ。

マヤに危害が及ぶ事を恐れた私は押入れから出る。

「出てきたアル。大人の言う事を聞く素直な子は、DTも早く卒業するアル」

女は妖艶な笑みで舌なめずりをしながら、誘っているようだ。

「私をどうする?」

女の眼光は鋭く、私の心臓を鷲掴みにしている。

まるで、蛇に睨まれた蛙のようだ。

「淀んでる目で敵意を剥き出しにされると子宮がうずくアル」

女は笑っているが、私の心中は穏やかではない。
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