妖魔03(R)〜星霜〜
私と広目は無言のまま、裏道を通って隠れ家へと急ぐ。

広目は変わりない顔つきで後に続く。

一体、どこで私とマヤの出会いを知ったのか。

昨日の今日で、連絡が行き届くというのか?

もしかすると、すでに隠れ家ではなくなっているのか?

所詮は誰かが管理する土地。

監視されていてもおかしくはない。

思いに耽りながら、隠れ家へと着いた。

隠れ家付近は建物の裏の影にあり、樹も鬱蒼と茂っている。

ある程度の邪魔な樹を切り取って建てたのだ。

「お前、手先が器用アルな」

「やらなくちゃ、暮らせる場所がない」

「今度、アチシの体も色々といじっていいアル」

広目のいう事は無視して辺りを見回す。

オルゴールを聴いていたマヤの姿はない。

隠れ家の扉を開けると、マヤが横たわっている。

手にはしっかりとオルゴールが握り締められていた。

「マヤ」

近づいてみると、お腹の部分から血がにじみ出ている。

私は医者ではないので、大した治療が出来てなかった。

例え、自分の治癒能力が高いとしても、しっかりと傷を塞がなければ無意味だ。

痛みはないだろうが、寝ている間に死んでしまう事がある。

私はどうすればいいか解らない。

「焦って、皮をチャックに挟んだくらい危険アル」

広目はマヤの付近で膝を付いて、傷ついた腹を触っている。

「私には、治す事が出来ない」

「中々、楽しい行事を用意してるアルな」

愕然とした気持ちになっている私とは全く違う。

広目は自分ならば治せると言っているかのように笑っていた。
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