不機嫌な彼
遠くで、授業の終わりを知らせる音がする。休み時間になると生徒がガヤガヤするからうざい。
俺は名残惜しいけど彩希から離れて、そのオデコを軽く小突く。
「…やっぱりこの距離だと中の下だね」
俺って、本当に、性格悪い。
彩希は唇を噛んでまだ赤い顔のまま、
「瀬名くんは元気だからもう医務室には来なくて大丈夫よ!!それより授業真面目受けなさい!!」
後半は教師らしい真面目な言葉。
「…じゃー、俺病気。」
彩希は両眉を曲げて、何か言いたそうに口を軽く開ける。
だけど、俺はそれを遮って、
「…っ!?」
彩希の唇を塞いだ。
「1日でも彩希の顔見ないと死んじゃうかもね」
小さく囁いた言葉が彩希の耳に届いたかどーかは知らない。
Fin
