不機嫌な彼
「…っ!!悪かったわね!!じゃあ視力の検査でもしましょうか?きっと瀬名くんの視力驚く位悪いわよ」
彩希は鋭い声でプンプンと怒っている。全く、怖くないけどね。
「うん、じゃあ確かめてもらおうかな」
俺は、そう言うと、彩希の顔に距離1cmまで近付いた。
彩希の瞳が大きく見開かれる。
「あーほんとだ。近くで見たら、多少は可愛いね?彩希?」
口の端だけ上げる笑みに、彩希は、また顔を真っ赤にさせて一瞬で固まってしまった。
彩希はよく、表情が変わる。
冷めた外見より、子供らしい単純な思考。
こんな、可愛い女、知らない。